受診される方の傾向
診察のなかで、「わたしと同じ病気の方は、どのくらい来ているのでしょうか?」といった、ご質問を頂くことがよくあります。そこで、過去1年間に当院を受診してくださった方々について、統計をとり、簡単なグラフにまとめてみました。
調査の対象期間は、平成19年6月27日から平成20年6月26日までです。
なお、表示されている人数はすべて、のべ数ではなく、実数です。
感情障害は、うつ病をはじめて、躁うつ病や抑うつ神経症を含んでいます。30歳台から40歳台の方たちが多く受診されており、この年代だけで、すべての受診者の半数近くを占めています。
5年ほど前までは、もっと若年世代にかたよっていたのですが、医師の加齢にともなって、ここ最近は、50歳以上の方たちにも、多く来ていただけるようになりました。
男女を比較してみますと、女性の人数は、30歳代から60歳代までほとんど変わりませんが、男性の人数は、30歳台から40歳前半の時期に明かなピークがあります。昇進など職場内での立場の変化が、発症に関係しているものと思われます。
不安性障害は、パニック障害、全般性不安障害などを含み、ここ10年ほど、受診される方が増えている疾患です。かつては不安神経症と総称されていましたが、最近は「○○○障害」という米国風の呼び方が一般的になってきました。
20歳台から40歳台の若い方に多い病気であると言われていますが、当院においてもその傾向を確認することができます。逆に、この年代で不安症状があらわれても、50歳を過ぎるころには、自然に治癒する方が少なくないのだろうと推測されます。
社会不安障害とは、かつて対人恐怖症と呼ばれていた疾患から、いわゆる「あがり症」と呼ばれる自律神経症状まで、はば広く含んでいます。
明治時代から、若い男性に多い疾患と考えられてきましたが、当院にあっては、40歳台から50歳台の壮年期の方も多く受診されており、また女性であっても、悩んでいる方が随分と多くいらっしゃることがわかります。
すべての来院者に対する、主要3疾患(感情障害、不安性障害、社会不安障害)の方たちの比率を、各年代ごとに表してみました。もっとも、受診される方によって、複数の疾患を併発していることがありますので、統計の結果に数%程度の誤差を生じている可能性があります。
70歳以降になって、「その他」の人数の比率が急激に増えるのは、ここに認知症が含まれていることと、この年代の方の全体数が少ないことによっています。